仏の顔も三度まで

新しい年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。 武者小路実篤の戯曲『わしも知らない』は、お釈迦さまの説話を元に描かれています。執筆は武者小路二十八歳の大正三年、翌四年に文藝座により帝劇で初演されています。お釈迦さまが出られた釈迦族…

お寺が消える

日本人の多くは正月の初詣や七五三で神社へお参りし、お盆やお彼岸はお墓へお参りし、結婚式はキリスト教でおこなって、お葬式は仏教という形が定着していて、これらは一見無節操にみえますが、日本人は宗教を軽んじているかといえば、そうでもないと思いま…

お墓と仏壇の関係

「お墓が遠方にあってお参りになかなか行けず、お墓の将来が不安」というお悩みをお持ちの方は多いでしょう。大家族が核家族へと変わり、若い人は地方を離れて都会へ移り、少子高齢化が進んでいることもあって、すでに地方のお墓を継承した人やこれから継承…

12月31日除夜会と1月1日元旦会について

12月31日に除夜会(じょやえ)と1月1日に元旦会(がんたんえ)を修行します。来年1月17日は阪神大震災発生から20年、また8月15日は戦後70年の節目に当たります。震災と戦災の災禍に思いをはせながら、平穏な日々が一日も早く実現するよ う静かに念じ、新たな…

映画「崖の上のポニョ」に仏さまの世界を感じます

宮崎駿監督のアニメーション映画「崖の上のポニョ」を見ました。これは海に棲むさかなの子ポニョが、5歳の男児、宗介と一緒に生きたいと、わがままをつらぬき通す物語です。さ かなの子ポニョには稚魚のいもうとが沢山いて、そのいもうと達の助けを借りて、…

地獄は一定すみか

親鸞聖人のお言葉が『歎異抄』の第二章にあります。 おのおの十余箇国のさかひをこえて、身命をかへりみずして、たづねきたらしめたまふ御こころざし、ひとへに往生極楽のみちを問ひきかんがためなり。しかるに念仏よりほかに往生のみちをも存知し、また法文…

浄土真宗本願寺派の仏教讃歌

浄土真宗本願寺派の仏教讃歌は明治時代から作詞作曲されるようになり、これまでに270曲あまりが作られ、国内にとどまらず海外に渡った日系人の間でも歌われてきました。教会音楽に比べ歴史も数も及びませんが、一曲一曲こころの琴線に触れるものがあります。…

お盆を考える

今年もお盆の季節になりました。盆踊りの盆と語源は同じですが、お皿や茶碗を載せるお盆に由来しているわけではなく、古代インドのサンスクリット語「ウッランバナ」が、中国においてその音から[盂蘭盆]と漢字が当てられるようになった言葉が元になってい…

4月19日写経会開催します

4月19日(土)「写経会」第1回を開催します。親鸞聖人がお示しになられた「正信偈」(しょうしんげ)を毎回ご自分のペースで写経する会です。会場は浄泉寺本堂(埼玉県比企郡吉見町)、14時から15時です。必要なものはこちらで用意します。参加無料で一回のみの参…

親鸞聖人御消息第一通を味わう

親鸞聖人御消息第一通の冒頭、「有念無念の事」というタイトルは後世に何者かが書き加えたメモとされ、全体は臨終の来迎(お迎え)のこと、次いで正念のこと、そして有念無念のこと、また教えに真(しん)仮(け)があること、最後に釈迦如来の善知識のことが記…

松本紹圭さんの講演会のご案内

☆☆☆松本紹圭さんの講演会のご案内です☆☆☆ 10月5日、未来の住職塾で知られる松本紹圭さんの講演会を開きます。テーマは「お寺はいのちの学校−これからのお寺の100年」。 2013(平成25)年10月5日(土)14時-15時30分(13時開場) 会場:フレサよしみ小ホール(…

よくよく考えてみれば、わたし一人のための願いだった

親鸞聖人は35歳の1207年に京都から越後にご流罪になり、1211年赦免された後も伝道教化のためしばらく越後に留まった後、1214年に上野佐貫(群馬県)で三部経千部読誦を発願・中止して常陸(茨城県)へ向かったと資料に残されていますので、2014年は親鸞聖人…

こころのリセット

お釈迦さまは生まれによる差別を否定され、平等を説かれました。「生れによって賤しい人となるのではない。生れによってバラモンとなるのではない。行為によって賤しい人ともなり、行為によってバラモンとなる」(ブッダ『スッタニパータ』岩波文庫)。お釈…

お釈迦さまの道は「和をもって貴しとなす」

検察OBの知人は真剣な眼差しで言いました。「ご住職、罪を罰するとはどういうことか長年考えてきたけれども、答えが見つからない。仏教では一体どう説く のでしょう」。話はその方が現役検事だった頃にさかのぼります。資産家の夫人が自宅で殺された事件を…

親鸞聖人の三度の夢告

『歎異抄』第16章に回心(廻心)という言葉が出てきます。犯罪者が罪を悔い改め、更生を誓う意味として用いられたりもしますが、キリスト教では「かいしん」、仏教では「えしん」と読み、信仰の転回を意味します。「すべての宗教に普遍的な現象で、回心なく…

いまを生きる

お釈迦さまの教えの原点は、「散心(さんじん)から定心(じょうしん)へ」という点にあったとわたしは思います。あれこれと思い悩み散漫なこころを不善とし、まったく波立っていない湖面のように澄み切ったこころを善とします。しかし唯識がこころのはたらきを5…

本願を宗とし、名号を体とす

歎異抄第十一章は歎異抄第一章「弥陀の誓願不思議にたすけられまゐらせて、往生をばとぐるなりと信じて念仏申さんとおもひたつこころのおこるとき、すなは ち摂取不捨の利益にあづけしめたまふなり」に対応しているといわれ、誓願が不思議だからたすかるのか…

他力の悲願はかくのごとし

歎異抄 第九章 一 念仏まふしさふらへども、踊躍(ゆやく)歓喜(かんぎ)のこゝろおろそかにさふらふこと、またいそぎ浄土へまひりたきこゝろのさふらはぬは、いかにとさふらうべきことにてさふらうやらんと、まふしいれてさふらひしかば、親鸞もこの不審ありつ…

もののいのち

ものにはいのちがあります。生き物だけではありません。あらゆる存在すべてにです。わたしが小学生の頃、クラスのなかにやんちゃな男の子が遊んでいるうち、長い定規で友人の頭を軽く叩いたことがありました。「そんなことをすると、定規が泣いているよ」と…

頑張るあなたへ

釈尊一代がお勧めくださった仏法は、万人に開かれた悟りの実践に外なりません。万人に開かれたということは、身分や性差を超えて、誰にも開かれたということで、それは釈尊在世のインド社会が厳しい身分社会であり、女性蔑視の社会であったことを考えると、…

個のいのちと、個を超えたいのちについて考える

今年6月、富山大病院に低酸素脳症で入院していた男児に対し、国内で初めて6歳未満の子どもへの脳死判定が行われました。脳死判定を受けて臓器提供という重い決断をされた男児のご両親が発表されたコメントをニュースで聞き、わたしも感銘を受けました。そ…

平川彰先生のお言葉から

平川彰先生は東京大学名誉教授をおつとめになった稀代の仏教学者で、2002年にお亡くなりになるまで実に多くの著書を残されました。その中の『新・仏典解題事典』(共著 春秋社 1966年、絶版)序章を読んでおりましたら、次のようなお言葉がありました。「仏…

寺報『淨泉寺通信』第4号を発行しました。

浄土真宗本願寺派淨泉寺の活動をお知らせする『淨泉寺通信』(A4カラー両面)は、1月、4月、7月、10月に年間4回発行しています。 ご縁の方には定期的に郵送しております。 ご希望の方はコメント欄に「淨泉寺通信郵送希望」と書いてお送りください。さて、寺…

親鸞聖人750回大遠忌法要を振り返って

昨年4月から勤修されてきた親鸞聖人750回大遠忌法要が本年1月16日ご満座を迎え円成いたしました。50年に一度の大遠忌法要の集大成となる御正当法要は、わたしが親鸞聖人に感謝を伝える法要でもあります。親鸞聖人は今から750年前の1263年1月16…

3月16日はじめての歎異抄講座開催しました

毎月開催している「はじめての歎異抄講座」第6回を、3月16日(金)19時よりフレサよしみにて開催いたしました。10名の方にご参加いただき、ご講師の西光義秀師より歎異抄第三章についてのわかいやすい解説をいただきました。ご参加いただいた皆さま、誠にあ…

カフェで歎異抄講座はじまる

3月12日(月)から毎週月曜日17時から18時まで、 東松山駅前まちカフェにて「はじめての歎異抄講座」開催しています。 ひとり500円で事前申込みは必要ありません。 答えのない人生だからこそ、関心のある方はどなたでも。 勧誘はしません。 ところで、昨日の…

311祈りの日

この日、被災地に行けなかったわたしは、毎週法話に寄せていただいている埼玉県の日帰り温泉「小川温泉花和楽の湯」様で、募金箱を持ってしばらく立つことを選びました。 お坊さんが温泉の入り口でひとり、募金箱を持って立っている。営業上どうかと思えるこ…

仏教の真理

仏教の真理には一点の曇りもなく、わたしたちの寄る辺として、これからも永遠にわたしたちを導いてくださいます。混沌を極めている時代だからこそ、独立したその真理の孤高さは際立っているように見えますが、それを説く側の僧侶が、その真理を見失っている…

4月8日わくわく子ども会開催します

埼玉県の浄土真宗本願寺派淨泉寺住職です。 淨泉寺のホームページはコチラ http://www.j-yoshimi.net/地域に根差した活動の一環として、周辺の子どもたちを招いて「わくわく子ども会」を開催します。4月8日(日)9時30分から12時 淨泉寺にて(駐車場あり) …

大悲は小悲に寄り添う

昨夜のNHKクローズアップ現代「被災3000人のアンケート・震災の生きた記録」に感動。父と母と娘が車で逃げようとした時、津波が襲って来た。 父が娘を乗せてエンジンをかけて出発しようとした時、乗り遅れた母が波にさらわれた。車は波に押されるように走…